ウィーンの舞踏会　その１「国立歌劇場舞踏会」

OpernBall  　国立歌劇場舞踏会

　ウィーンで開催される代表的な舞踏会のいくつかをご紹介しましょう。まずは最も有名な国立歌劇場舞踏会です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

 

 

ウィーンのバル（Ball）

　ウィーンと言えば音楽とともに舞踏会が有名です。ウィーンを訪れた人はコンサートやオペラに行きすばらしい音楽を堪能すると思いますが、舞踏会に参加して楽しむ人は少ないでしょう。かの地では毎年12月末から3月までの間、大小さまざまな舞踏会が300近く開催されると言われますから、この期間は毎晩ウィーンのどこかで必ず舞踏会が開かれていることになります。

開演はだいたい夜の10時で、終了は朝の5時というのが一般的です。ヨハン・シュトラウス二世の「こうもり」に出てくる夜会そのものです。舞踏会は英語ではDance Party(ダンス・パーティ)ですが、ウィーンでは単にBall（バル）と言われ、老いも若きも「バル！、バル！」と言ってこの時期盛り上がります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バルの開演を待つ国立歌劇場の夜景

　このウィーンで開催されるバルの最高峰に位置するのが国立歌劇場を舞台に開催されるOpernballです。これはオーストリアの国家行事となっており、会場となる歌劇場の貴賓席には大統領他、政府首脳や海外から招待された高官が居並びます。平土間には特設のダンス用床が設置され、回りを取り囲むロージェ（ボックス席）には着飾ったセレブ達が陣取ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正面玄関前の赤絨毯

　舞踏会当日正面玄関には赤絨毯が敷き詰められます。一般入場前にVIPの入場が始まり、政府要人や有名人が続々と到着して、それを見るためにリンクの反対側には沢山の人が集まってきます。この赤絨毯からVIPの入場後、一般の参加者も入場することになります。　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デビュタントの入場を待つ

バルでは開演していきなり踊りが始まるわけではありません。最初に厳かなセレモニーがあります。特にOpernballではそれが充実していて、国家斉唱、EU歌演奏に続き、デビュタント（その舞踏会で始めて社交界にデビューする若者たち）の入場があり、その後国立歌劇場バレイ団によるバレイの演技、歌劇場の専属オペラ歌手による歌唱が続きます。そしてウィーン・フィルハーモニーによる演奏があり、終わるとやっとデビュタントによる踊りの演技が始まります

 

デビュタントの入場

 

 

 

 

 

 

 

 

国利歌劇場バレイ団ダンサーによる演技

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国立歌劇場専属歌手による歌唱

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デビュタントによるカドリール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員で踊ろう！！

　デビュタントが整然とカドリールを踊り、その後ウィンナワルツの調べに乗ってくるくると回りながらワルツを華麗に踊り、そしてそしてやっとその後「Alles tanzen（全員で踊ろう）！」のかけ声とともにフロアの人たちが全員で踊り始めます。

何千人もの人がいっせいに踊るわけですからその混雑はもの凄く、山の手線の朝のラッシュ時と変わらない感じの混みようです。その場で踊るしかなく、とてもくるくると回ることなどできません。日本でのダンス・パーティをイメージして行くとその違いにかなり戸惑うことでしょう。筆者は日本を出発する直前、ダンスの先生から舞踏会用のホールド(男女の組み方）や混雑時の踊り方をなどを特訓してもらいました。

どうでしょうか？　あなたもきっと舞踏会に参加してみたくなりましたね。その前にダンスが踊れないとだめなのですが、コムツアーズさんにお願いすればダンスレッスンの手配もしてくれます。ウィーンのダンススクールでダンスを習い、舞踏会に参加するのもよいかもしれません。是非挑戦して舞踏会を楽しんでみてください。

＜文・写真　古川　隆＞