オーストリア写真紀行

ヴァッハウ渓谷の旅(メルク修道院) 前編

日本人にも人気の高いヴァッハウ渓谷のクルーズにでかけてみよう。クルーズだけではつまらないので乗船地のメルクの町でメルク修道院を見て、クルーズの途中デュルンシュタインの町で船を降りて、ケーリンガー城趾にも登って見ることにしよう。まずはその前編である。

ウィーンからヴァッハウ渓谷のクルーズ乗船地のメルクまでは、まずウィーン西駅からECなどでザンクト・ペルテン(St.Pölten)まで行き、そこでRに乗り換えてメルクの駅に行くことになる。途中の車窓にはオーストリアの穀倉地帯が延々と続いている。およそ1時間でメルクに着く。

車窓から見る穀倉地帯

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メルクの駅は小さな田舎の駅でのどかそのものである。

メルク(Melk)駅

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メルクの駅を出たら向こうの丘の上にメルク修道院は見えている。駅前から静かな住宅街をゆっくりと降りて行き、通りから伸びている修道院への階段の坂道を上っていくと入り口が見えてくる。 

 メルク修道院の中庭

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このメルク修道院、なかなか見応えのある内容なので、少し余裕を持ってメルクに出かけ乗船前にじっくり時間をかけて見たいものである。マリー・アントワネットもフランス王室に嫁ぐ途中にこの修道院で一泊したということである。ものすごい蔵書の数を誇る図書館や付属教会の豪華な内部など必見である。修道院から周囲の眺望もよくきれいな景色が四方に広がっている。

メルク修道院から見る町並み 

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 修道院の見学が終わったらヴァッハウ渓谷のクルーズ船が待つ船着き場へと向かおう。通り沿いにきれいな中世の町並みが続いている。

メルク中心部の町並みとメルク修道院

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今回のバァッハウ渓谷の日帰り旅行だが、ツアーの観光客は団体専用バスで行くことが多いようだ。もちろんそれでもクルーズには変わらないが、面白みは半減してしまうだろう。個人旅行の場合はウィーン西駅とフランツ・ヨーゼフ駅で、鉄道切符と乗船券それにメルク修道院入場券がセットになったコンビチケット(Wachau Kombiticket)を売っているらしいのでそれを使うと便利だろう。ユーレイルパスを使って鉄道を利用した場合、メルクの船着き場でパスを提示すると乗船料が割引になる。 筆者はパスを持っていたので提示して割引してもらった。よくわからない人は迷わず出発前にコムツアーズさんに相談しておくのがよいだろう。

船着き場で乗客を待つクルーズ船

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船着き場に行くとクルーズ船はすでに停まっている。しかし、すぐには乗船できないので改札が始まるまで岸で待たねばならない。特に待合室がある訳でもないので時間を見計らって行くのがよいだろう。 

出港直後のクルーズ船の船上

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クルーズ船の中は、最上部がオープンデッキになっていて下の階はレストランを兼ねた船室である。オープンデッキは人気があり、 あっという間に乗客でいっぱいになってしまう。ここで気をつけたいのは川船の場合、桟橋につける場合船首を川上に向けるということだ。今回のクルーズはドナウの上流から下流に向けての航海である。そのため支流にある桟橋からドナウ本流に出るとき船はまず後進で進んでいく。そして本流に出たところで180度回転して船首を川下に向けて航海を始めることになる。進行方向向きの席、右舷と左舷も乗船時とはまったく逆になるので、気をつけて席を選びたい。

後進するクルーズ船から見えるメルク修道院

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メルクからクレムスまでの航海は流れに乗って下っていくので1時間40分ほどである。逆に来るルートのクルーズもあるがこれは流れに逆らって航海するので1時間ほど余計に時間がかかるようだ。デュルンシュタインまでだともう少し航海時間は短い。 

シェーンビュール城(Schloß Schönbühel)

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 間もなく右手に美しいシェーンビュール城(Schloß Schönbühel)が見えてくる。まるで絵はがきを見ているような景色である。船内ではテープによる案内放送が流れている。なんと日本語もあるのだが、順番にドイツ語、英語、スペイン語、イタリア語、フランス語、日本語と同じ内容を言うのだが、最初のドイツ語か英語で聞き取らないと日本語の案内の時にはその景色は遠く船尾に過ぎてしまったりしている。各国語の案内でその国の人がいっせいに視線をずらすので、どこの国の人か見ていて楽しかったりする。

ドナウ川を上ってくる貨物船

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岸辺に広がるブドウ畑

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このバァッハウ渓谷の岸辺にはブドウ畑が続いている。オーストリアの有数のワイン産地だということだ。日本のよう棚に這わせる栽培方法ではなく、畑にブドウの木が直立して規則正しく並んでいる。

 

間もなく船は途中の停泊地シュピッツに着く。そこから先はバァッハウ渓谷の旅後編に譲るとしよう。

<文・写真:古川隆>

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