オーストリア写真紀行
バーデン
ウィーンの滞在も長くなり、どこか半日ぶらっと行ってみたいという人にはバーデンなどいかがだろう。温泉保養地であるバーデンはウィーンの近郊南にありウィーン・マイドリンク駅からRで20分ほどで着く。クラシック音楽ファンに忘れてほしくないのは、このバーデンはヨハン・シュトラウス二世の喜歌劇「こうもり」の舞台となった地であるということだ。劇中でオルロフスキー公爵からアデーレとイーダがカジノで運試しをして来るように言われ公爵の財布を預かってカジノにいくくだりがあるが、現在でもバーデンにはカジノが存在する。
バーデン(Baden)駅
ÖBBのバーデン駅は近代的な駅舎に建て変わっている。駅を出て公園を抜け途中で右に曲がっていくとハウプト広場(Hauptplatz)に到着する。それほど大きな広場ではないが中央にウィーンと同じようなペスト塔が建っている。
ハウプト広場(Hauptplatz)
バーデンは古くから温泉保養地として有名で、その昔はヨーロッパ各地の王侯・貴族、お金持ち、芸術家の別荘があり多くの人が滞在していた。モーツァルトやヨハン・シュトラウス、ベートーベンもよく訪れていて、このハウプト広場のすぐ近くにもベートーベンハウスがある。ヨハン・シュトラウスとの関係は冒頭に述べた通りである。
グリューナーマルクト(Grüner Markt)の果物売場
ハウプト広場から少し行った町の中心部にグリューナーマルクト(Grüner Markt)があり、色とりどりの果物や野菜などが売られている。町の人たちの市場と言うより観光客相手のお店という感じが強い。
カジノと会議場
ハウプト広場からクーアパーク(Kurpark)に向かっていくとそこにはカジノと会議場の大きな建物がある。今でもカジノは営業されているようでオーストリア国内でも有名なようである。
バーデン鉄道(Badner-Bahn)の車両(バーデン駅にて)
バーデンに行くにはウィーンからÖBBのRで行くと冒頭に書いたがもう一つの方法として私鉄のバーデン鉄道(Badner-Bahn)を使う方法がある。この鉄道のウィーン始発駅は国立歌劇場からちょっと行ったところにあり、ちょっと色の違うトラムが停まっていると見過ごしがちだが立派な私鉄の専用駅である。通常編成は3車両連接を2本繋ぎ合わせたもので、明らかにウィーン市内のトラムよりは長い。この鉄道のバーデン駅は、バーデンの玄関口ヨーゼフ広場のすぐ横にあり、その昔はこちらの方がバーデンに行くための本家だったということがうかがえる。
温泉の池
ヨーゼフ広場にはちょっと濁った小さな池があり、変だなと近づいて見るとこれは温泉の池であった。中央の石には硫黄がこびりついており、日本でもおなじみの硫黄の匂いがまわりに漂っていた。
バーデンは、静かでのんびりとした町である。温泉保養地だから当然なのかもしれないが、たくさんあるみやげ物屋もなんとなくのんびりとしている。行き交う人たちもあくせくしていないので、ウィーンと違ってのんびりと散策が楽しめると思う。特にあわてることもなく、半日のんびりと過ごしてみてもらいたい。きっと心の保養ができるはずである。
<文・写真:古川隆>
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