オーストリア写真紀行
ザルツカンマーグート(Ⅲ)
ザルツカンマーグートの二日目である。一日目をバート・イシュルに泊まり翌日朝はホテルを早く出発することにしよう。二日目はポストバスと船を乗り継いでザルツブルグからは鉄道でウィーンに戻る行程になる。
まずはザルツカンマーグートで是非訪れてみて欲しいシャーフベルク登山鉄道を目指す。バート・イシュルの駅前のバス乗り場からザンクト・ヴォルフガング(St.Wolfgang)までポストバスが出ている。前述した通りポストバスは手強いのだがバート・イシュルは始発駅なので早めに行って路線番号や路線図などをチェックしておくとよい。途中下車になるので注意が必要なのは変わらない。バスは出発してしばらくは左右にのどかな田舎風景が広がる道を進んでいく。やがてヴォルフガング
湖にぶつかったところで右に曲がり湖岸をしばらく行くとシャーフベルク登山鉄道(Schafbergbahn) (湖岸駅) のバス停である。あわてて手前のバス停で降りてしまわないこと。バスの右車窓を見ていると登山鉄道の駅が見えてくるのと他の乗客もそこで降りるので雰囲気でわかるだろう。シャーフベルク登山鉄道(湖岸駅) に停まるSL列車
話は戻るがオーストリアの個人旅行で威力を発揮するのが ÖBB路線検索エンジンだろう。これでは鉄道だけでなくポストバスや船まで網羅されている。この使い勝手の良さは計り知れない。プランを立てるときはもちろん現地で確認する際にも大いに役に立つ。 のhttp://www.oebb.at/
特に今回のようにポストバス、船、鉄道などの種類の違う乗り物を乗り継いで利用する旅程でもきれいな候補プランを提示してくれる。独語と英語の切り替えができるが難しい独語でもないので是非ドイツ語画面で利用して欲しい。
山頂のシャーフベルクシュピッツ(Schafbergspitze)駅
登山鉄道の湖岸駅のチケット売り場でこのあと乗るヴォルフガング
湖 の船とのコンビチケットを買っておくと便利である。湖岸駅から山頂駅まで列車は40分ほどかけてかなりのこう配を登っていく。登山鉄道の車内
シャーフベルク 山頂よりヴォルフガング 湖 を望む
モント湖(Mondsee)
アッター湖(Attersee)
山頂についたらすぐに景色を見に動きたいところだろうが、その前に山頂駅の2階にあるチケット窓口に行って帰りの列車の乗車整理券をもらっておこう。これがないと勝手に帰りの列車には乗れない。団体ツアー客はガイドが手続きしてくれるが個人旅行では自分でするしかない。実際これをしていなかったために乗車を拒否されている人を見かけた。山頂からの景色はとても美しい。どんどん歩いて360度の景色を堪能したい。特に食事をする予定などがなければ1時間ほどあればまわりの景色は堪能できるだろう。
湖岸のレストランからの眺め
山頂から降りてきて船に乗るまでに時間があれば湖岸駅近くのレストランで昼食をとるとよいだろう。夏の時期だとどのレストランもテラス席が人気でどこも一杯だが、案外室内の席は空いていたりする。撮影した写真を確認したりするのは室内の方が便利なので私はこだわらずに空いている席に向かうことにしている。
船着き場
船が近づいて来るのが見えるのでそうしたら船着き場に行こう。人を乗せたらすぐに出発する。折り返しの港はここではなくザンクト・ヴォルフガング・マルクト(St.Wolfgang Markt)の船着き場である。乗ってしばらくは左舷に
ザンクト・ヴォルフガング の町の美しい景色が眺められる。地区協会やオペレッタ『白馬亭にて』の舞台となったホテルも船上から見ることができる。船着き場で船は折り返し船首を反転するのでデッキで座る席に気をつけていないとその後まともに直射日光を受けながらの航海になってしまう。ザンクト・ヴォルフガング 教区協会(手前はホテル・イム・ヴァイセン・レッスル)
遠くにシャーフベルクシュピッツが見える。
シャーフベルク登山鉄道(湖岸駅)
の船着き場からザンクト・ギルゲン の船着き場まで1時間弱の船旅である。右舷にきれいな景色と別荘地を多くみることができる。ザンクト・ギルゲン
ザンクト・ギルゲンはヴォルフガング湖の最も北に位置する町である。モーツァルトの母の生地でもあり、姉のナンネルが嫁いだ地でもあることから船着き場の近くに母の生家を利用したモーツァルトハウスがある。但し、ここも夏期の特定曜日のみの開館になっている。
モーツァルトハウス
市庁舎
小さな町なので散策もあっという間に終わってしまう。市庁舎の前には可愛いモーツァルトの像が立っている。屋根越しに先ほど登ってきたシャーフベルクの山頂を望むことができる。楽しかったザルツカンマーグートの旅もいよいよ終盤になり、国道脇のバス乗り場からポストバスに乗ってザルツブルグに向かいそこからウィーンへの帰路につくことなる。
今回はウィーンから一泊二日のザルツカンマーグートの旅を紹介したが、この前後にザルツブルグの一日探訪を追加して二泊三日の旅とするのもよいだろ。どの地に泊まるかはプランしながら考えてみるとよい。分からないことがあったらコムツアーズさんに相談すれば親切に教えてくれるはずだ。旅はプランするとき、行ったとき、そして帰って来てからの三度楽しめる! みなさんの素晴らしい旅をお祈りしたい。
(ザルツカマーグート完)ポストバスの車内
ザンクト・ギルゲンとヴォルフガング湖の遠景
<文・写真:古川 隆>
- ホーム
- オーストリア写真紀行
- ザルツカンマーグート(Ⅲ)