オーストリア写真紀行
ザルツカンマーグート(Ⅰ)
ザルツカンマーグートという地名ちょっと発音が難しい。「ザルツ(das Salz)」は塩、「カンマー(die Kammer)」は室、「グート(-gut)」は名詞について財産を表す。だから「塩の宝庫」と訳すらしい。ザルツブルグの南東エリアはダッハシュタイン連邦など高い山々とハルシュタット湖など美しい湖がたくさんあり、きれいな大自然が広がっている。ザルツブルグとともに「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台となったところでもある。このザルツカンマーグートの文化的景観は1997年に世界遺産に登録されており「ハルシュタット」の地名は一度は聞いたことがあるだろう。
ザルツカンマーグートをじっくりと探訪するにはさすがに日帰りでは無理だ。最低でも2日か3日はかかると思うが今回はウィーンから出発して2日で見て回ってみよう。観光案内書などではザルツブルグを起点にして書かれているものが多い。もちろんそれでも全く問題はないが、鉄道で入る場合アットナング・プッハイム(Attnang-Puchheim)駅で乗り換えることになるのでそれほど変わらない。
1日目は、前述アットナング・プッハイム駅
で支線に乗り換え、まずハルシュタット湖を訪れる。その後ポストバスとロープ-ウェイを乗り継いでクリッペンシュタインの展望台まで行き絶景を楽しみたい。次の日の行動を考えて宿泊はバート・イシュルあたりがいいだろう。オペレッタで有名なレハール・ヴィラも見てみたい。いつものようにウィーン西駅を朝早くに出発するのだが、今回はRJは使えない。RJはアットナング・プッハイム駅には停まらないからだ。ECかICでこの駅に停まる列車を調べておこう。RJでリンツまで行き乗り換える手もあるが1本で行ける方が面倒がなくてよい。
早朝のウィーン西駅構内
出発列車の電光掲示板
今回はインスブルック行き06:44発のÖIC542
を利用する。ÖIC はÖBB-InterCity(ÖBB都市間特急)の略で、ICではあるが隣国の都市まで運行されているものもある。主要駅の電光掲示板はだいたい英語の表記もある。ウィーン西駅はだいたいの列車が始発駅なのでAktuell(actual 現在の)はすべて空欄であるが途中駅で列車の遅延がある場合はこの欄に遅延した修正時刻が表示されるので注意が必要。「Hbf」という表記が頻繁に出てくるが、これはドイツ語でHauptbahnhof(ハウプト・バーンホーフと読む、中央駅の意)の略号である。単に「HB」と表記される場合もある。同じ地名の駅でも前後にいろいろついた駅名も多く主要駅はHbfとして区別している。アットナング・プッハイム駅
ウィーン西駅からアットナング・プッハイム駅までは2時間くらいである。ザルツブルグからは1時間足らずで着くはずである。ここで支線のR(Regional Zug 普通列車)かREX(Regional Express 快速列車)に乗り換えハルシュタット駅に向かう。この頃には太陽も昇り列車の左右にのどかな田園風景が広がってくる。
途中の停車駅
車窓に現れたハルシュタット湖
アットナング・プッハイム駅を出てからRで1時間半くらい、REXで1時間10分ほどでハルシュタット駅に到着する。到着する前に右の車窓に写真のような光景が現れるので見えてきたら降りる準備をしよう。駅は無人駅で湖の方に歩いて行くとハルシュタットに行く渡し船の船着場がある。こちらも無人で渡し船が到着すると船員さんが改札をしてくれる。
ハルシュタット湖の渡し船と船着場
ツアーで訪れるとバスを利用するのでこの駅から船着場に行き、船でハルシュタットに渡ることはない。トンネルを抜けたバス駐車場から歩いて入るだけだ。しかし、この湖から見るハルシュタットの景色を見ずしてどうしてこの地を訪れたと言えるのだろうか? 写真で見る100倍は美しいと思って間違いない。
船着場とカトリック教会
マルクト広場
ゼーホテル・グリューナー・バウムのレストランから見た湖
ハルシュタットについてまだお昼まで時間があってもレストランが開いていたら早めに食事をしてしまおう。それほど大きな町ではなく、むしろ村のようなところだからお昼時にツアーの団体客が押し寄せてくるとゆっくりと食事もできなくなる。
湖岸の館とゴンドラ
ザルツカンマーグートの湖では日本のマスの一種である魚が取れるようで料理に出てくる。塩とバターで味付けされグリルされていて日本人の口には合うので是非食べてみて欲しい。
マスの一種の料理
昼食をとったら散策をしてみよう。それほど大きな町ではないので歩いて隅から隅まで見ることができる。
ハルシュタットの全景
ザルツカンマーグート(Ⅱ)に続く
<文・写真 古川 隆>
- ホーム
- オーストリア写真紀行
- ザルツカンマーグート(Ⅰ)