オーストリア写真紀行
ザルツブルグ行(後編)
ザルツブルグ日帰りの旅では正午までにホーエンザルツブルグ城に登ってしまうことをお勧めする。お城へ行くためにはケーブルカーを利用するしかないので、団体客が乗り場に殺到するとそれだけで長蛇の列になってしまう。私は今まで午前中に乗り場に行きそれほど混雑した記憶がない。モーツァルトの生家からケーブルカーの乗り場までは地図を見ながら大聖堂の脇を抜けて行けば程なく着く。
ケーブカーを降りるとすぐにザルツブルグの旧市街のきれいな風景が目に飛び込んでくる。
ホーエンザルツブルグ城から旧市街を望む
この景色は何回見てもすばらしい。角度を変えて何枚も写真を撮っておきたい。はじめての人はここで時間を費やすが、実は城の上の方にも同じ方角を見晴らせる場所があるのでそれほどこだわることはない。城の中ではツアーコースもあるが時間がない場合は自由に見て回っても構わない。展示もいろいろと充実しているので、そのあとあまり観光をしないでウィーンに帰るのであればじっくり見て回るのもよい。
どこでお昼をとるかであるが、天気がよいならお城の中に何カ所かあるテラスレストランでとるのも景色がゆっくり眺められてよいかもしれない。メニューもそこそこそろっていて常識的な価格である。
お城から降りるのもケーブルカーを利用するのが普通だが、健脚自慢の人は徒歩で降りることも可能だ。ゆっくりと歩いて降りても30分かからない。ケーブルカー乗り場のすぐ近くまで降りることができる。上でお昼を食べなかった人はモーツアルト広場(Mozartplatz)までいくとまわりにいろいろなレストランがある。ただし冬場はテラス席もなく開いているレストランの数も限られるようである。
音楽好きな人であれば是非祝祭劇場(Festspiel Häuser)の内部見学をしてみたい。ガイドツアーはだいたいどの季節でも14:00~あるようだ(正確には事前に確認してほしい) 開始時間の少し前に正面玄関左側にあるショップに行ってレジでチケットを購入して待つことになる。お城から降りてきて時間があるようなら大聖堂などを見学して時間調整をするとよい。
祝祭劇場
ガイドツアーでは「モーツアルトのためのホール(Haus für Mozart )」に始まり「フェルゼンライトシューレ(Felsenreitschule)」まで続くが解説はすべてドイツ語か英語である。音楽の好きな人と語学が堪能な人でないと途中で飽きてしまうかもしれない。しかし劇場なので座席がいっぱいありそこに座ることができるので比較的楽なツアーだろう。
舞台設営中のフェルゼンライトシューレ(Felsenreitschule)
祝祭劇場の見学が終わったらそのまま劇場の前を歩いてメンヒスベルクのエレベーターまで行こう。途中にサウンドオブミュージックにも出てきた馬洗い池があるが気をつけていないと見落としてしまう。また歩道が極端に狭くなっている場所もあるので車に気をつけたい。
馬洗い池(Pferdeschwemme)
メンヒスベルクのエレベーターは岩山の中をくりぬいて造られていてあっという間に丘の上に出る。ここからの眺めがまた格別である。サウンドオブミュージックに出てきた景色と全く同じものが眼前に広がる。この景色を見納めにしてザルツブルグを後にすると思い出深い。
メンヒスベルクの丘からホーエンザルツブルグ城を望む
しっかりと景色を見て写真を撮ったあとはザルツブルグ駅へと戻ろう。急ぐのであればザルツァッハ川を渡りマカルト広場の手前にあるバス停「モーツァルトの住宅(Mozart-Wohnhaus)」で駅へのバスに乗ることになる。さほど急がないのであれば、再度ゲトライデガッセのお店をのぞきながら市庁舎の近くのバス停まで行って駅に行くバスに乗ろう。このバス停から駅に行く路線はそれほど多くないので時間には余裕を持っておくことである。
ザルツブルグ駅についたらウィーン西駅に戻る列車を電光掲示板で確認しよう。RJ以外にECもあり、食堂車で食事をしたいのであればECの方がいい。ザルツブルグ駅は途中駅なので国際特急列車の場合遅延することが結構多い。電光掲示板に遅延情報も掲載されているのでよく確認すること。ヨーロッパで列車の遅延は普通のことなので誰も気にとめる人はいない。1時間以上の遅延もそれほど珍しくはない。ウィーンに戻れればいいのだから自分に都合のよい列車に乗ることにしよう。指定席のチケットを持っていてもそのまま別の列車の自由席に乗ることができる。RJに乗る場合は駅構内のお店で食べ物と飲み物を買っておくこと。ビストロカーの営業はリンツあたりで終わりになることがあるので、乗ったらすぐに行かないと食べ損ねることになりかねない。
これでザルツブルグ日帰りの旅は終わるのだが、どうだろう、結構いろいろなところを1日で見ることができるのが分かると思う。是非この旅を計画してみて欲しい。いつも私も自分に言い聞かせるのだが「ひとつの旅ですべてのものを一度に見られなくてもよい。いくつか見残したところがあれば、それはきっとまた訪れることができるということなのだ。」くらいのゆるい気持ちがよい思い出をつくるのだと思う。
みなさんのすてきなオーストリアの旅をお祈りしたい。
<文・写真: 古川 隆>
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